2017.3.10 谷川岳天神尾根ピストン(日帰り)
3月に入り、そろそろ冬山シーズンも終わりが見えてきました。
思えば4年前のこの時期に、レインウェアとレンタルアイゼン(10本爪)を装着して谷川岳天神尾根で雪山デビューした のが、冬山に没頭するスタートでした。
この時の天神平は超ドカ雪でリフト運転見合わせでゲレンデが解放されており、多くのパーティーがゲレンデでロープワークや滑落停止の練習をしていた事を覚えています。
そんな中、貧弱な装備の我々2人は腰まで埋まる豪雪に恐れおののき、天神平駅から稜線に出たところで早々に撤退。何を思ったかゲレンデの途中で湯を沸かしてカップラーメンを食べ、それを白い目で見る他の登山客の皆様・・・・
雪山と夏山の区別もついていなかった青い時代の私たち。
そこから赤城、黒斑、天狗岳、日光白根、安達太良、独標、赤岳と経験を積んで4年越しのリベンジに谷川岳へやってきました。
朝5時に川越を出発し、7時過ぎにはロープウェイ駐車場へ到着。ゴンドラの運行が8:30からのため、ものすごいノンビリとトイレや着替えをして待ちます。
暖房の効いた室内で準備できるって幸せだな~
この時点で外はまずまずの風と降雪。ちょっと不安・・・・
ガラガラの一番ゴンドラに乗って天神平駅に到着。準備を済ませて駅舎を出ると、まるで4年前を彷彿とさせる横殴りの吹雪に積雪。こりゃ一筋縄ではいかない感じです。
ゲレンデは3~4人のスキーヤーが滑走してる他、誰もおらず。
バックカントリーの方が5、6名と我々2人のみの天神平を後にして吹雪の中を出発します。
ゴンドラ駅舎を出て右側の登山道から稜線までいきなりの膝上ラッセル。
朝一だけあって圧雪も踏み跡もなく、いきなり心拍数はMAX・サングラスは蒸気で曇って大変なスタートを迎えます。
天神峠の稜線に出たところで吹雪は徐々に強くなり、進むべきルートの判別が怪しくなってきました。
天神峠から樹林帯に入る頃、後ろから猛スピードでバックカントリーの方が追い上げてきました。彼の速度にも驚かされましたが、その思いっきりの良さに一番驚かされました。
同じようにルートの判別に苦労している彼。どうやらルートは歩いている稜線の下側だと判断したようで、突然稜線から滑走!そして間違いに気付いたのかラッセル車のごとく板を装着した状態で急勾配を再び上がってくるではありませんか。
1人で谷川岳をバックカントリーしてるだけでも十分只者ではありませんが、世の中には恐ろしい馬力を持った人がいるんですね。
夏なら木道がある登山道を抜け、熊穴沢の頭でちょっとした危険個所を越えた辺りで辺りは猛吹雪に。
GPSと地図を駆使して進むべき方向を検討しますが、思うようにいきません。
本気の雪山での地図読み能力の大切さを改めて痛感すると同時に、冬山では登山道のルートをトラバースする事にこだわらず、しっかりと地形を読める能力が必須だと思いました。
また吹雪のピストンの場合、何か目印になるような物を付けて歩くのも手だとも思いました。もちろん完全に回収して帰る事が前提ですが。
熊穴沢避難小屋に到着し、さぁ進退をどうするか・・・と、暖かいお茶でも飲んで小休止しようとした瞬間・・・・・
ボゴッ!!!!!
足元から突然、ゆっくりと崩れ始めました。
ズブズブっと地中に脚から引きずり込まれ、完全にパニックです。
咄嗟に小屋の鉄柱(冬季用の目印?)にしがみついて身体を確保。パートナーに引きずりあげてもらい、何とか地面に這い上がれました。
どうやら避難小屋周囲にできた空間の上に雪が積もり、落とし穴のようになっていたようです。私がその雪の上に乗った瞬間に、重みでフタが崩れて本来の地面まで落下する所でした。その深さは推定4~5mはあったかな?
これ、一人で落下して誰にも気付かれなかったらどうなるんだろ???
しばらく手の震えが止まりませんでした・・・・クワバラクワバラ。
この落下未遂の騒動で完全に心が折れてしまった私。
吹雪も強くなる一方で視界も悪く危険を感じてきたため、ここで撤退を決断します。
往路で本来の登山道から外れてしまった熊穴沢ノ頭をきちんと正規のルートで戻りますが、またもルートを見失ってしまいます。
避難小屋手前でもこのルート読みのむずかしさ!まだまだ雪山初心者だと思い知らされました~いい勉強になりました。
天神平スキー場に戻ってきたときの安堵感たるや、数年ぶりに我が家に帰ってきたような気持ちになりました。
谷川岳、やはり一筋縄ではいかない山でした。
また来年、きちんとレベルアップして帰ってくるぞ!!